『A nagy fuzet』
2013/ドイツ・ハンガリー合作
監督:ヤーノシュ・サース
製作:サンドル・ソス
パル・サンドール
製作総指揮:アルベルト・キッツラー
ジェルジ・ズーフ
音楽:ヨハン・ヨハンソン
キャスト:アンドラーシュ・ジューマント
ラースロー・ジューマント
ピロシュカ・モルナール
ウルリッヒ・トムセン
ウルリッヒ・マテス 他
86点
”したたかな力強さ”
日比谷シャンテにて鑑賞。
双子の健気さに胸を熱くさせ、次第にあらわになる彼等のしたたかさに鳥肌立たせて少しの怖さを感じつつ、最後の選択にまた胸を熱く。
全編に漂う戦時下のじんわりとした緊張感。
映画全体がパワフルでありながら、語り口は軽妙さも兼ね備えてる。
大変素晴らしい作品でした。
原作未読です。
ネタバレ含みます。
過酷な状況を生き抜く為の”訓練”、そのエスカレートと、段々と知恵としたたかさを手に入れて行く二人に鳥肌。
祖母の家に預けられて間もない頃こそ母への思いを抱きながらの生活だったものの、生き抜く”訓練”を積み、手に入れた強さとしたたかさをしっかりと内在化して、遂には母親の引き取りの申し出も拒否。
彼等の中の信念が確実に根付いてる証の出来事。
親も何も信用せず、頼るのは自分たちの力のみ。
個人的に一番唸ったのはラストの二人の後ろ姿。
父の屍を踏み越えて行く双子の一人と、今まで通りの生活を続けるもう一人。
励まし合って、引き離されることを一番恐れた二人が、遂に別々の道を進む選択にまたもや鳥肌ですよ。
生きて行くのにもう双子の相手さえいらない。
何よりこのラストに希望すら感じられるのは、二人の選択で作品を締めて、それぞれの歩き出す後ろ姿で終わっているから。
個人的に、後ろ姿で終わる映画が大好きなんです。
そこからは希望しか感じられないから。
目の前の道を歩く後ろ姿には、能動的な意思を感じるんです。
例えば、これは完全にハッピー指向ですが『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』
あのマット・デイモンが運転する車と延々と真っ直ぐ続いた道は希望に満ち溢れているじゃないですか。
『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:Q』
あの、3人が赤い大地を歩き出す後ろ姿は希望に満ちてます。
中でも、後ろ姿エンディングで一番印象に残っているのは是枝監督作の『誰も知らない』
どんなに悲惨で救いようの無い話でも、さんさんと照る太陽の下を彼等が歩いて行く後ろ姿にはたくましさと希望しか感じられないんです。
お高いところからの安易な慰めなんか拒否してるように感じるんです。
今作のエンディングもこれと同様。
可哀想だとか、切ないだとか、そんな視線を拒否する背中ですよ、あれは。
自分たちはこうやって生きて来たし、これからもこうやって生きて行く。
そのたくましい決意を切り取ったラストです。
全体に緊張感が漂いつつも、所々語り口は軽妙でクスっともさせられる。
凍死した脱走兵から装備を奪うシーンのあの無理矢理加減には笑いました。
それでいてギョッとするようなシーンもあって、ホラー的でもある。
本当に豊かな映画。
凍死した脱走兵から装備を奪うシーンのあの無理矢理加減には笑いました。
それでいてギョッとするようなシーンもあって、ホラー的でもある。
本当に豊かな映画。
<あらすじ>
第2次世界大戦末期。双子の兄弟が、祖母が暮らす農園へ疎開してくる。彼らは村人たちから魔女と呼ばれる意地悪な祖母に重労働を強いられながらも、あらゆる方法で肉体的・精神的鍛錬を積み重ねる。大人たちの残虐性を目の当たりにした2人は、独自の信念に従って過酷な毎日をたくましく生きぬいていくが……。
映画.comより
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