『渇き。』
2014/日本 上映時間118分
監督・脚本:中島哲也
門間宣裕 他
製作:依田巽
鈴木ゆたか 他
撮影:阿藤正一
編集:小池義幸
原作:深町秋生「果てしなき渇き」
キャスト:役所広司
小松菜奈
清水尋也
妻夫木聡 他
58点
”『告白』よりは好き”
「高校生は1000円キャンペーン」のせいか、中高生に囲まれた状態で鑑賞。
彼等はこの映画に何を思ったのか。
中島哲也監督の前作『告白』
これが当時、綺麗に賛否が分かれた作品で、その戦いがまた新たな客を呼ぶ形で結果大ヒット。
批評的にも成功、ということになって、その年の日本アカデミー賞なんかも取ったりしました。
その結果傑作扱いになっているんですけど、やっぱり否定的な意見もしっかりあって、かく言う私も否定派。『告白』は嫌いな作品です。
とにかく中島監督の作風、作り込まれた映像で劇中の登場人物に誰一人感情移入出来ないんですよ。
登場人物みんなが記号的で、血の通った人物に見えない。
故に感情移入出来ない。
その結果、誰がどうなろうがどうでもよくなるんです。
でも、恐らくこれは監督の狙いで、登場人物へのドライな視点もわざとだとも思うんですよ。
そんな批判は承知の上だと。
そんなしたたかさもイラっと・・・、おっと。
で、今作『乾き。』も、予告を見る限りこの『告白』路線なのかなと思ってたんですが、ズバリそうです。
『告白』同様今作もびた一感情移入出来ない。
しかも『告白』以上ですね、これ。
この作品結構なゴア描写がてんこ盛りなんですけど、どんなに描写がエグくても痛みが伝わって来ない。
これは私の持論で、今年で言うと『ローン・サバイバー』を観た時にも強く感じたんですが、痛みを伴う残虐描写は共感装置としても機能すると思っていまして。
例えば、『ローン・サバイバー』の敵から逃れる為に崖から飛び降りるシーン。
その場面、何度も何度も岩場に打ち付けられながら転がっていく隊員達をスロー見せながら、グギ、ボキ、グギギ等々、聞いただけで痛そうな効果音を合わせる。
そうすると、隊員達が感じる痛さを見ている側も感じて、結果、否応無く感情移入してしまう。
それが今作には不思議なことに皆無。
むき出しの内蔵を踏みにじったり結構エグいことやってるんですけど、痛覚に訴えかけるものは無し。
目を背けることなく観てられました。
と、ここまで書いて来て、それも今作の狙いで、中島監督の計画通りなのかも。
登場人物を皆ぶっ飛んだ設定にして、ゴア描写を露悪的に見せることに徹する。
これが監督の狙いか。
そうやって”普通”の映画あてはめて考えてるお前が古いんだよ、と。
またこのしたたかさが鼻に付く・・・、おっと。
じゃあ、根本的に気になった所を指摘するならば、全体にキャラクター含め映画全体のテンションが高い。
いつもの中島哲也演出に仕上がってます。
が、そのせいで流れの緩急が感じられなくて、語り口は軽やかなのに映画全体が鈍重な印象。
音楽の使い方も下手で、スーパーの屋上のシーンなんて、せっかく良さげになりそうなものを、変な音楽流して結果台無し。
これも狙ってでしょうけど、清涼飲料水のCM風のパートも、どうかなぁ、あまり関心しません。
ただいい所も確かにあって、映画と言うより役者さんの演技の話なんですけど、やっぱり何より、とにもかくにも二階堂ふみ。
やっぱり彼女とんでもないですよ。
ずば抜けてます。
これだけ感情移入出来ないキャラが揃ってる中で、彼女だけ、作品のテンションを維持しつつにじみ出る佇まいの空気でキャラに奥行きが生まれてる。
凄まじいです。
彼女だけ、彼女だけは心底物語の中で救われてくれと思って観てました。
二階堂ふみさん。
本当に素晴らしい女優さんです。
間違いない。
総じて今作は、見せ方はそうであれゴア描写はあるし、毒にも薬にもならない日本映画が未だに多い中で、パワフルな力強い映画だとも思います。積極的に応援したい類いの映画です。
ただ、全体としてやっぱりどうでもいい。
やっぱり彼女とんでもないですよ。
ずば抜けてます。
これだけ感情移入出来ないキャラが揃ってる中で、彼女だけ、作品のテンションを維持しつつにじみ出る佇まいの空気でキャラに奥行きが生まれてる。
凄まじいです。
彼女だけ、彼女だけは心底物語の中で救われてくれと思って観てました。
二階堂ふみさん。
本当に素晴らしい女優さんです。
間違いない。
総じて今作は、見せ方はそうであれゴア描写はあるし、毒にも薬にもならない日本映画が未だに多い中で、パワフルな力強い映画だとも思います。積極的に応援したい類いの映画です。
ただ、全体としてやっぱりどうでもいい。
<あらすじ>
妻の不倫相手に暴行を加えて仕事も家庭も失った元刑事の藤島昭和は、別れた元妻の桐子から娘の加奈子が失踪したと知らされ、その行方を追う。容姿端麗な優等生で、学校ではマドンナ的存在のはずの加奈子だったが、その交友関係をたどるうちに、これまで知らなかった人物像が次々と浮かび上がってくる。娘の本当の姿を知れば知るほどに、昭和は激情に駆られ、次第に暴走。その行く先々は血で彩られていく。
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