2014年7月29日火曜日

DOCUMENTARY OF AKB48 少女達は、今、その背中に何を思う?


DOCUMENTARY OF AKB48 The time has come
2014/日本 上映時間120分
監督:高橋栄樹
企画:秋元康
製作:窪田康志
太田圭二 他
プロデュサー:吉澤佳寛
磯野久美子 他
撮影:高橋栄樹 他
編集:伊藤潤一
音楽:久連石由文


85点





”まるで学校の3学期”






最寄りのTOHOで鑑賞。

『ノア 約束の舟』で某宗教団体の方々に囲まれながらの鑑賞を経験したので、今回も特殊な体験が出来るかなと少し期待してたんですけど、劇場に入ってみると、ヲタの方々はまばらにいるくらいで、学校帰りの女子高生数組にご夫婦が少しと、割と客層はバラバラ。

初めてAKBドキュメンタリーを劇場で観られることで多少上がったテンションを抑えつつ、座席に座り上映を待ちました。


個人的なスタンスの話をすると、AKB48は嫌いじゃありません。
むしろ好きなぐらい。
そりゃそうだ、映画を観に行くくらいなんだから。

CDを買ったり握手会に行ったり、所謂ヲタ活動をする程では無いにしても、嫌な感情は全くありません。(個人的に応援しているのはでんぱ組.incです)

ただ、AKBの活動を詳しくは追ってないので、この年に一回のドキュメンタリーを私は年次報告のような感覚で楽しんでます。

と同時に、運営する大人達も含めた「AKB48」って本当によく出来ているんだなと毎回関心。
その様を映すドキュメンタリーとして本当に良く出来てる。


そして観てると、月並みな言葉だし馬鹿っぽいですけど、すごく元気が出て、自分も頑張ろうって思えます。

・・・
・・・・。

ああ!!
その”戻る”のクリックを一旦ストップ!!
もうちょっと、もうちょっと話をさせて!!






"AKB48”と聞いただけで、ましてやそのドキュメンタリー、そして映画で公開なんて聞いた日にゃ、拒否反応を起こす方々もいらっしゃるでしょう。
かつての私がそうでした。

ところが2年前。
友人に「これ凄いもの映ってるから。絶対好きだから。観てから文句言いなさい」と半ば強制的に借りさせられたAKBドキュメンタリー2作目。

これが本当に凄まじい作品でして、『ゼロ・グラビティ』と並ぶ”二大過呼吸映画”と認識しています。

と言うのも、二幕目の西武ドームでのライブの様子がもう、まさに灼熱地獄で踊ってるようで。
元々空調の無い熱のこもりやすい会場に加えて、前日のパフォーマンスが観るに耐えないボロボロなものだったので、怒った秋元康に発破掛けられてるもんだから、みんな120%の力で踊る、歌う。

その結果、まさに死屍累々。
ばったばったと倒れるメンバー続出。

人が過呼吸と酸欠で発作を起こす姿が克明に映ってるんですよ。
まず単純にここがショッキングで、その様があまりにも凄すぎてもう見てられない。


年端もいかない女の子達がこんな姿になって、半ば意地と根性で頑張ってるなんて。
それに比べて自分は何なんだ!?
と、ソファーで寝っころがって観てる自分の情けなさを恥じたりもしました。


AKB商法だ、AKBが日本の音楽会をダメにした等々と批判する方が多くいますが(この批判に関しても大いに反論ありなんですけど)、ここに映る生身の少女達の姿は本物。
これを無下に否定することは誰にも出来ないはず。

確かに、この状況を作って、彼女達に負荷をかけてる大人達への批判は多いにあると思います。
でも、その上で必死に歌って踊る彼女達の姿は本当に眩しくてキラキラしている。
これこそがアイドル。

その姿をまざまざと見せつけてくる、AKBドキュメンタリーの2作目『Show must go on』


一作目は総監督の岩井俊二のテイストが濃くて、メンバーのインタビューが中心の割とオーソドックスな作りだったんですけど、2作目以降の監督高橋栄樹さんは、アイドルとしての彼女達の姿、つまり、膨大な記録フィルムから中立な視点で彼女達を見つめて、その中で今の彼女達の姿をあぶり出す。
この内側に向いてない外に向かれた視点も確かなものです。







で、今作『The Time has come』
監督自ら言った通り、シリーズ最高傑作。
今までで一番バランスの取れた作品だと思います。

2作目と同種のショッキングなシーンもあり。
今回は特にチーム再編成の件なんかもう見てられない。

ただ、今作がこれまでの作品と違うのは、今までは彼女達が越えるべき壁を運営側の大人達が設定してたんですが、今回の多くは天候だったり、予測不可な外的要因が多いこと。

それに加えて、元々大所帯のAKB48は体育会系の部活のようなものだと思ってたんですけど、今作を学校に例えるならその3学期目。つまり、今作は学校要素が高い。

三学期の学校行事と言えば、期末テスト、クラス替え、予餞会、そして卒業式。
それになぞらえるならば、期末テストが総選挙、クラス替えがチームの再編成、予餞会が日産スタジアムでのライブ、卒業式が最後の劇場公演。

それを邪魔する天候不順。おまけに変質者まで来ちゃった。
でも、それにもめげず、皆で再び一致団結して乗り越える。

どうです、見事に”3学期”でしょ。


今作を青春妄想劇場で要約するならばこんな感じ。
ここから妄想です。


3学期。
みんなでいられるのもあと少し。
来年からは新しいクラス。
親友のあいつとも春から離ればなれ。
今まで引っ張ってきてきれた先輩も、あと少しで卒業。

お世話にになった先輩のために、みんなで最高の予餞会にしよう。

しかし、その思いを打ち砕く無情の雨

悔しい。
でも負けるものか。

出し物は全部雨でダメになったけど、もう一度一から作り直そう
先輩の為に!!



妄想ですよ。
でも8割方こんな感じです。

熱い男達の友情と同じぐらい、女子の友情に熱いものを感じる私にとって、これ程燃えるものは無い。

今作は究極の”熱い女子友情物語”なんです。

この感じの見方が出来る人には今作を激しくおすすめします。







全体に、元気が出る、勇気が出るとか、一致団結、意地、根性等々、少し青臭い言葉が並んじゃいましたけど、ステージの上で笑顔振り撒いて、全力で歌って踊るアイドルから感じるものは率直にこれ。

今回観て改めて感じたのは、顔がいいとか可愛いからだとか、アイドルを応援するってもうそう言うことですらないんだなってこと。

全力で頑張ってる人がいる。
その人を見て自分も頑張ろうって思う。
単純にこれですよ。
観終わったあとに残る清々しい気持ちの正体は。


おうおう。
最後に青い感じで締めてしまった。

でも正直な気持ちだから堪忍してー。



<あらすじ>
人気アイドルグループ「AKB48」の活動の裏側に迫ったドキュメンタリーシリーズの第4弾。2014年6月の大島優子卒業を前に、大きな岐路に立たされているグループの13年1月~14年6月の活動に密着。かつてない規模でのメンバーの移籍や兼任が発表され、波乱を呼んだ14年2月の大組閣祭りや、荒天で延期となってしまった14年3月の国立競技場コンサートでの大島の卒業セレモニー、そして14年6月の第6回選抜総選挙の3大イベントを軸に、芸能界のメインストリームを走り続ける少女たちの姿を活写。指原莉乃が1位になった13年の第5回選抜総選挙も含まれるため、シリーズ史上初めて、2回の選抜総選挙が描かれる。監督はシリーズ前2作を手がけてきた高橋栄樹。
映画.comより






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