2014年7月19日土曜日

her/世界でひとつの彼女


her
2013/米 上映時間120分
監督・脚本:スパイク・ジョーンズ
製作:ミーガン・エリソン
ヴィンセント・ランディ
製作総指揮:チェルシー・バーナード
ナタリー・ファリー 他
音楽:アーケイド・ファイア
撮影:ホイテ・ヴァン・ホイテマ

キャスト:ホアキン・フェニックス
エイミー・アダムス
ルーニー・マーラ
オリヴィア・ワイルド
スカーレット・ヨハンソン 他

86点




”赤ん坊、少女、そして大人の女(ひと)へ”







日比谷のよみうりホールで行われた試写会にて鑑賞。

公開後二回目に行こうとしたらですね、最寄りのTOHOで上映無し。
あれれ、おかしいなぁオスカー候補だったのになぁとネットで検索してみると、なんとTOHOだと全国で一館のみの公開。
何か事情はあるにせよ、この扱いは駄目ですよ、TOHOさんや。

で、新ピカまで二回目を観に行きたかったんですが、どうしても都合が合わず断念。

正直一回の鑑賞で咀嚼しきれてないんですが、思ったことをつらつらと。

軽くネタバレ含みます。






監督の言にあるように、設定は近未来でOSとの間に芽生える恋でも、描かれている本質はもの凄く普遍的は人と人との関係かと。

OSと生身の人間の恋。
ここからまず生まれるのは、肉体的な接触が出来ないことによるもどかしさ。

なんですけど、それをしきりに気にするのはOS側のサマンサ。
で、セオドア(ホアキン・フェニックス)はと言うと、その逆の心の繋がりを求める訳です。
心の繋がりというより、セオドアは”現状”を望む訳です。

ただ、OSのサマンサはそうはいかない。
OSとして様々なことを学習し、成長し、進化をする。

そして、別れのきっかけの一つとなるのが、大きな障害であった肉体的接触では無く、このサマンサの”成長”によるもの。

サマンサの成長を、セオドアは受け入れることが出来なくなったのです。
この齟齬こそが人と人との、とりわけ男女の普遍的な関係なんだと思います。


サマンサは、OSとしての初期段階は、見るもの聞くもの考えるもの全てが初めて、言わば赤ん坊の状態。好奇心の塊な訳です。
それが次第に学習をして、セオドアとの間に確かな愛を感じ、この関係をどうにか発展させられないかと考える。
そして、OSとしての進化が人知を越える所まで行き、その成長をセオドアが受け入れることが出来なくなる。


要するに、女性の成長は男の倍ってことです。
そして男はそれに追いつけない。
乱暴に言えば。

かなり穿った見方だと思ってたんですけど、他の方の評、特に男性のを見ると同じことを考えていた方が多いこと多いこと。

こうなれば女性側の感想も聞いてみたい。






1920年代風の衣装の近未来設定も凄くいい。
全体的に暖かく快適そうな環境なのに、どこか皆寂しげなのはどうしてか。

この世界観がこの映画の繊細さを際立てて凄くいいです。
このバランス感覚、さすがスパイク・ジョーンズ。



・追記
前作は2009年の『かいじゅうたちのいるところ』なんですけど、今作との間に短編を一作撮っていまして、それが2010年作のI'm Here』と言う作品。
全体の世界観はこの作品の流れを汲むものだと言うことを付記しておきます。







<あらすじ>
近未来のロサンゼルスを舞台に、携帯電話の音声アシスタントに恋心を抱いた男を描いたラブストーリー。他人の代わりに思いを伝える手紙を書く代筆ライターのセオドアは、長年連れ添った妻と別れ、傷心の日々を送っていた。そんな時、コンピューターや携帯電話から発せられる人工知能OS「サマンサ」の個性的で魅力的な声にひかれ、次第に“彼女”と過ごす時間に幸せを感じるようになる。
映画.com





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